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岡田の子宝不動尊
 多分、ご存知ない方が多いのではないかと思いますが、館山市岡田の集落の一番奥、山あいの小川の脇に、三間四面ほどのこぢんまりとした風早(かざはや)不動堂があります。
 
 いつの頃からかは聞き漏らしましたが、子授けの霊験あらたかなお不動様で、1月28日の初不動の縁日には、地区の人達が総出で、お参りの人達みんなにパック詰めのお赤飯を振る舞い、テントまで張って甘酒やお茶の接待をします。
 お導師は小網寺の住職が当たることになっており、現在は西岬の円光寺にお住まいの池田僧正様がお勤めになります。
 
 子宝に恵まれないご夫婦がお参りすると、不思議に願いが適うといわれます。 お参りした時、お堂にある犬の縫いぐるみを借りて帰り、願いが適うともう一匹添えてお礼参りをする慣わしがあるそうで、なるほどお堂の中には犬の縫いぐるみが所狭しと並んでいます。
 
 池田僧正様のお話です。
 数年前の初不動に、噂を聞いて東京の板橋からお出でになったというお姑さんが、隣に座っているお嫁さんのお腹をなぜてやって欲しいと頼んだそうです。半ばドギマギしながらも、数珠でお加持をして上げて、いつとはなしに忘れていたところ、翌年「本当に有り難いことに、お陰様で子宝に恵まれました。」と、若夫婦とご一緒に、お礼参りにおいでになったのだそうです。

 前々からのお護摩札や接待の用意、内外の大掃除など、地区挙げての準備は大変と思いますが、心のこもったこういう行事は、人助けのためにもずっと続けて欲しいものだと思います。
 (この項まんだら通信92号より転載)

 写真は今年2005年の1月28日、初不動の様子です。
 今年も「お陰様でお礼参りです。」とか「知り合いに聞いてお参りに来ました。」というお話しを沢山聞きました。
 科学万能の時代といいながら、最後に頼るのは仏様ということなのでしょうね。
 犬の縫いぐるみは、多くなり過ぎると片づけるのだそうですが、沢山の縫いぐるみが御利益を物語っています。

これほどの効き目?がありながら、素朴に控えめに行事を続ける地区の人達の心根が、とても好ましく思えると同時に、もう少しPRすれば喜ぶ人も沢山いるだろうに、という気持ちも禁じえません。