これから、上記五つの仏教遺跡を順次ごく簡単に御紹介していきましょう。
先ず、古都アヌラーダプラから参ります。
アヌラーダプラは、スリランカの首都コロンボの北東約250kmにある古い都で、紀元前四世紀、パンドゥーカバヤ王がここを都と定め、紀元10世紀末南インドのタミール国の侵略を受けるまで約1400年の間、都でありました。
(一時期、シーギリヤ、ポロンナルワに移ったこともありますが、アヌラーダプラはインドから伝えられた聖なる菩提樹、釈尊の仏舎利、仏歯がある聖地として最大の古都であります。)
仏教遺跡上重要、有名なものをごく簡単に御紹介します。
1 イスルムニア寺
デーバナンピア・ティッサ王(紀元前3世紀)が仏教を伝えたマヒンダ長老と身分の高い出家者の為に寄進したお寺とされています。
その全景です。
建物の右側に見える岩の面には、四世紀頃彫られた「水浴びする象」と「嵐の神の男神像」、「火の神の馬」が彫られています。
またお堂の中には、岩を削って造られた極彩色の涅槃仏があります。
2 聖なる菩提樹
インドのアショカ王の息子マヒンダ長老の妹、サンガミッタが、釈尊が悟りを開いたブッダガヤの菩提樹の小枝を持ってきて植えたとされ、スリランカの歴史書「マハーバンサ」によると紀元前249年といわれています。
3 マハービハーラ(ルワン・ワリサーヤ仏塔)
アヌラーダプラには、三大仏塔といわれる大塔があります。このマハービハーラはスリランカ上座部仏教の中心的役割を担い、スリランカ最初の仏塔といわれています。創建は紀元前2世紀、今の塔は1842年から補修され高さは90mもあります。
4 アバヤギリ仏塔
紀元前1世紀の建立。高さ74mあります。
紀元3世紀頃の大乗仏教の拠点で多くの学僧達が研究の為集まったといわれています。上座部中心のマハービハーラに対し大乗仏教の中心でありました。
5 ジェータナバ仏塔
四世紀の建立、アバヤギリ派から分裂した一派が新しい宗派を興し仏塔を建てたと言われております。
6 サマディー仏(瞑想する仏陀)
アバヤギリ仏塔の近くにある三世紀頃の仏陀像で、禅定印を結び半跏跌座をとる美しい仏像です。
スリランカの坐仏像は殆どがこのサマディーの姿で、嘗てインドのネール 首相が英国により投獄されていた時、この像に想いを馳せて涙を流していたそうです。
アヌラーダプラには、この他沢山の仏塔やお寺がありますが、次回はスリラン
カに仏教を伝えたアショウカ王の息子、マヒンダ長老が、最初にやってきた
ミヒンタレーの丘、遺蹟をまんだら通信3として御紹介致します。